「仕上がったページを見返すとなぜか物足りない」
手癖でマンガを描いていくと、気づけば似たような構図ばかりが並んでいたりして、ページ内に同じような印象のコマがダラダラと続いてしまうことがあります。
この記事では、マンガとしてこの「同じようなコマが続いている」状態はまずいのか?そうだとすれば、どんな対策ができるのか、また、同じようなコマを活かして効果を生み出す使い方についても説明していきます。
「同じようなコマ」が続くことは良くないのか? #
効果的に同じ印象のコマを並べることもあり、絶対に同じようなコマを続かせてはいけないわけではありません。
でも、意図せずに「結果的にそうなってしまった」という場合は、改善が必要かもしれません。次のような状態になっていないかチェックしてみてください。
視線誘導が滞ってしまう #
マンガはコマの大きさや形を変えることで、読者の視線を次のコマへと導きます。同じ大きさ、同じ角度のコマが並ぶと、視線のリズムが一定になりすぎてしまい、読者はどこを重点的に見ればよいのか判断しにくくなります。
その結果、ページをめくる手が止まったり、内容が頭に入らなくなったりすることがあります。
時間の経過や感情の起伏が伝わりにくい #
コマは、物語の流れそのものです。
- 動きが見られない:
ドラマチックな展開やアクションシーンでは「動き」が感じられなくなります。これを逆手に取って、時間が止まっているような感覚や、静かな対話シーンにあえて使うことも。 - 情報の優先順位:
すべてのコマが同じ印象だと、どのセリフが重要で、どの表情が決定的なのかという「強弱」がつきません。せっかく表情を伝えるために顔のアップにしても、流し見されてしまうことも。
単純に、見た目がつまらない #
人間は視覚的に変化がないものに対して、無意識に注意力を失う傾向があります。ずっと同じ引きの絵(ロングショット)や、ずっと同じ顔のアップが続くと、読者は「さっきと同じ絵を見ている」と退屈を覚え、読むのをやめてしまいます。
空間把握が難しくなる #
キャラクターが今どこにいて、相手とどのような距離感で話しているのかという客観的な情報(状況説明)が不足することがあります。
あえて同じようなコマを使う #
同じようなコマは悪いことばかりではありません。 コマを繰り返すことで、読者に強烈な印象を残す手法もよく使われています。通常が「コマに変化がある」ことが前提で動き続けているからこそ、たまに「静」をつくることが次のような効果を生みます。
「沈黙」や「空気感」を伝える #
セリフのないコマを、あえて同じ角度で数コマ並べる手法です。
- 例: 落ち込んでいるキャラの背中を、少しずつ引きながら3コマ見せる。
- 効果: 部屋に流れる気まずい沈黙や、止まってしまったかのような重苦しい時間を、読者に肌で感じさせることができます。
「微細な変化」を際立たせる #
構図を固定することで、その中で動くもの(表情や手の震えなど)に読者の注目を強制的に集めます。
- 例: 真顔のアップが数コマ続き、最後のコマで目元だけがわずかに動く。
- 効果: 背景や角度が変わらない分、キャラのわずかな心の揺れが、大きな事件のようにドラマチックに伝わります。
「時間の経過」を定点観測で見せる #
同じ場所を同じ角度から描き、空の色や時計の針、人物の有無だけを変えます。
- 例: 誰もいない教室の風景を、昼・夕方・夜と同じ構図で並べる。
- 効果: 映画の定点カメラのような演出になり、切なさや、長い時間が過ぎ去った感覚を説明抜きで伝えられます。
シュールな笑い #
お笑いで言う「天丼」です。繰り返すこと自体が笑いになることもあります。
「ルーチン」や「退屈」の表現 #
毎日同じことの繰り返しであることを強調したい場合です。
- 例: 朝起きて歯を磨くシーンを、何日分も同じ構図で連続させる。
- 効果: キャラクターが感じている「代わり映えのしない日常」や「閉塞感」を、読者にも体感させることができます。
同じようなコマはあまりにも多用すると、やはり単調に見えてしまい「つまらない」「手抜き」の印象が強くなりがちです。使い所を厳選していきましょう。
コマの変化を判断させる要素とは #
マンガのコマが単調に見える原因は大きくわけて3つです。この要素に変化をつけて、続きが気になる構成を目指すといいです。
1. コマ自体の形 #
コマの形によって流れの速さや場面の重要度が調節できます。
| サイズ | 大・中・小のメリハリ |
| 形 | 縦長、横長、斜め、断ち切り |
| 配置 | 1ページあたりのコマ数や、視線の誘導 |
2. コマ内の構図 #
構図で「状況や心理」を表現します。
| カメラの距離 | アップ、引き(ロング) |
| アングル | アオリ、俯瞰(ふかん)、アイレベル |
| キャラクター | 表情、背中、手元、配置 |
3. 白黒バランス(密度) #
全部同じトーンの濃さだと、パッと見たときに同じ絵に見えることも。テンポ重視のときや抜け感を表現するのに白めのコマ(疎)にしたり、黒っぽくする(密)と迫力や重厚感、緊張感を表現できます。
白黒のバランスは以下で調整できます。
- トーン
- ベタの量
- 描き込みの密度
- 影の付け方
3つの要素を組み合わせる #
あえて同じ印象のコマをつくりたいときは、この3つの要素をすべてそろえたり、どれかの1つか2つの要素を共通化させることで、効果的な構成ができます。
コマの変化を意識したネームが重要 #
構成の観点においてネームこそがマンガの完成度を左右する最重要工程です。
構成はほぼネームで決めるものです。下書きやペン入れの段階で構図を直そうとすると、修正コストも高く、1つを直そうとするだけでページや話全体に影響が出ることもあります。
マンガネーム作成ツールでコマのパターンを試そう #
手描きでネームを描くと、どうしても得意なアングルだったり、手癖の構図をつくってしまいがちです。マンガネーム作成ツールは絵を描かずにネームをつくるので、今まで自分では生み出せなかったコマを簡単につくることができます。
マンガネーム作成ツールが効果的なコマを作りやすい理由は、下記の機能にあります。
- コマ同士の境目を動かすだけで大きさ変更ができる
- 3Dモデルを使ったキャラクターの位置やカメラアングルをグリグリ動かすだけで、ポーズを保ったまま構図変更
- 画像配置やコマの背景色で擬似的に密度の高いコマを再現可能
- コマの内容のコピー・貼り付けができるので、同じコマがすぐ作れる
ページや話全体のネームを作り終わった後に気になる部分が出てきて修正したくなるときもありますが、マンガネーム作成ツールなら消して描き直して、という工程がないので修正コストが低く済みます。
まとめ #
シーンの見せ方はたくさんあります。同じ構図になってしまうと表現の幅が狭くなり、結果的にもったいないです。
様々な表現のコマを用意して展開させていくことが魅力的なマンガを生み出すかもしれません。